昭和50年代、小学生の私は納豆嫌いを克服しようと思い立った。当時、食べ物の好き嫌いが歓迎されない時代だったにもかかわらず、さすがに納豆を強要されることはなかった。しかし、給食、林間学校、親戚の家、、あらゆる場所で朝に納豆が登場する。今のように朝食ブッフェなどないから、旅先の宿でも朝定食に納豆が供された。それらを毎度、残す・返却する・断る行為が子供ながら好きではなかった。いっそ美味しく食べてしまえるなら人生はさぞかし楽なことだろう、、
今回は当時の私が実行した「納豆を食べられるようになった流れ」を紹介。納豆以外の「食べられない」にも応用可能な方法だ。
まずは豆を食べる(慣れる)
まずは納豆を混ぜずに数粒口にする。ワサビや辛子、パクチー、フランスの濃厚チーズ、ウニの瓶詰め、クセのあるものは「微量を口に含む」。これを繰り返すに限る。最初は口から出しても構わない。わずかな風味を体験するうちに少しずつ許容量が増え、あるタイミングで食べられるようになる。これを私は「味覚が開く」と勝手に名付けている。
小学生の私は「納豆は無理〜」と知りつつも、たまに一粒二粒つまんでいた。そして毎回「(自分にとっては)美味しくない食べ物」と確認して過ごしていた。最終ゴールは、ふわふわにかき混ぜて食することだが、糸を引くと納豆の香りが立ってしまうので、苦手なうちは混ぜずに大豆を食べるのがオススメだ。給食がひき割り納豆だったので、私はひき割りからスタートしたが、大豆をつまむならば大粒・中粒が食べやすいかもしれない。節分の炒り豆のちょっとクセあるバージョンといった風になる。
ゆかりと混ぜる(紫蘇のふりかけ)
当時、家に「ゆかり」という紫蘇ふりかけがあり、好物のひとつだった。ある日、朝食のひき割り納豆に、ゆかりをドバっとかけてみたところ、紫蘇の香りのお陰で、納豆の匂いがうまく消えた。ゆかりの下に納豆が見え隠れ。柿の種で例えるならば、ピーナッツが納豆で柿の種がゆかり。醤油はかけない。
ちなみに、ゆかりは、しばしば懐石料理の締めのご飯に載っている紫色の粉だ。紫蘇のふりかけを全て「ゆかり」と呼ぶのかと思いきや、三島食品の商品だけが「ゆかり」に該当するらしい。もともと梅干しを漬けた際に使用した赤紫蘇を乾燥させて粉砕したもので、梅干し同様、家庭で作られていたものだ。
好きなふりかけと混ぜる
混ぜることの楽しさに気付いた私は、次に大好物の鰹田麩(かつおでんぶ)を大量にふりかけた。糸が引かない程度に軽く混ぜる。ここでも醤油は使わない。鰹田麩にすでに甘辛い醤油味が付いている。
田麩(でんぶ)とは、魚肉類を細かく炒り煮したものだ。桜田麩(さくらでんぶ)といえば、鱈(たら)を甘く味付けしてカラカラに炒ったものに食紅でピンク色をつけたもの。ちらし寿司や海苔巻きをたちまちラブリーな姿に変えるお馴染みの食材。鰹田麩(かつおでんぶ)というのは、鰹節を甘辛く炒り煮したふりかけだ。
ふりかけを混ぜる際の注意事項
以上のやり方をしばらく続けると、納豆が「食べられない」状態から「食べられる」状態になる。注意事項としては、あくまでも納豆を食べられるようにする手段なので、以下の理由から長期に亘って大量摂取することは避けるのが良さそうだ。
注1)塩分の過量摂取に気をつける
注2)アミノ酸・グルタミン酸ナトリウムなどの旨味調味料に気をつける
注3)その他、たんぱく加水分解物・加工澱粉などの化学的に合成・抽出されたものに気をつける
特に、旨味調味料を子供時代から食べすぎると中毒になってしまうかもしれないので、選択肢があるならば食品添加物などが入っていないふりかけを選択するのがお勧めだ
最終目標は、国産大豆の納豆+刻んだネギ+卵黄+本物の醤油!
昭和の典型的な営業マンだった父は、茨城方面での接待ゴルフの帰りにしばしば藁(わら)に包まれた水戸納豆を買ってきた。母が豆を藁から出し、水に晒した刻みネギ、卵黄、醤油を混ぜて食卓の中央に置くことがあった。かなりかき混ぜたのか、納豆は糸を引きフワフワに見えた。納豆嫌いだった小学生の私はそれを味わうことはなかったが、大人になってから自作してみると素晴らしく美味しい納豆になった。もちろん和芥子を入れても美味(白身は後日スープや炒め物に利用)。これを最終ゴールに是非お試しあれ。
まとめと次回予告
1、納豆の糸を引かずに豆を口に含んでみる
2、少量の納豆に、ゆかり(紫蘇ふりかけ)を混ぜてみる
3、少量の納豆に、好きなふりかけと混ぜてみる
4、1〜3を楽しく繰り返し「味覚が開く日」を待つ
5、最終ゴール、納豆の王道(ネギ・卵黄・醤油)を目指そう
※注意事項:ふりかけに含まれる塩分・うま味調味料・食品添加物の過量摂取に気をつける
私は納豆に付属されているタレは捨てている。子供の頃から自分で味付けする癖がついているからだ。次回は簡単な納豆アレンジを紹介。納豆嫌いさんでも「ハマる」ものがあるかも。オリーブオイル&塩胡椒と納豆、アルファルファと納豆とか。納豆バナナについては既に紹介しているので、既に納豆が好きな方は是非どうぞ。→納豆とバナナの意外なハーモニー・納豆嫌いが克服できるかも
何でも食べられると人生が楽なのだ。2024年12月
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